翻訳者になるためのルートには色々あります。このサイトでも様々な方法をご紹介していますが、「色々あると逆に決めづらい」「これをやればいいという方法を選んで示して欲しい」という方もいるかもしれません。
そこで、現在の英語力に応じて以下のような3つの段階に分けて教材を2つずつご紹介します。ただし、「これさえやれば絶対翻訳者になれる」という方法ではありませんので、自己判断で利用してください。
では行きますね。
翻訳者を目指す人のうち、現在のレベルで以下の3つに分けます。
- まったくの初心者:英文を見てもまずどこをどう調べてどう読めばいいか分からない。直訳にも不安がある。
『ジーニアス総合英語』で基礎を固めて⇒『英文解体新書』で一気に応用へ
ジーニアス総合英語 中邑光男 (著)、山岡憲史 (著)、柏野健次 (著)
最近書店で見つけた本です。文法や語法が一通りまとまって解説されていて、ページ構成も見やすく、勉強しやすいと思います。これでいわゆる「中学・高校の英文法」は一通り学べると思います。まずはこの一冊を仕上げることで英語の土台を築けると思います。
英文解体新書: 構造と論理を読み解く英文解釈 北村一真(著)
Twitterでは「Mr.BIG」の名前で発信されている、杏林大学准教授北村一真先生の執筆による英文会社のテキストです。上記のジーニアス総合英語を一通り学習した後なら、文法用語も理解して読み進められると思います。英語の構文、構造、かかり方をしっかり理解したい人にお勧め。
これら2冊を学習し終えたら、英語と日本語の対訳があるもの(月刊の英語雑誌や企業や官公庁のウェブサイトで英語・日本語の両方があるもの)で自分の興味のあるものを探して、自分で翻訳した後、お手本と比較して自分で添削すると良いです。(この作業を繰り返す)
2. 中級者:一通り英語は勉強して、直訳の英文解釈ならできる。原文に引っ張られすぎてしまって、読みやすい日本語にするにはどうすればいいか分からない
翻訳の基本―原文どおりに日本語に 宮脇 孝雄 (著)
この本で単に「文章を構文通りに読み解いて訳文を作る」という従来の自分の訳読の仕方がひっくり返ります。原文通りに日本語にするとはどういうことなのかが本当の意味で理解できます。
中級から一気に上級に行くための一冊。紙の書籍は絶版になっているようですのでKindle版がお勧め。図書館にも置いてあるところも多いですので、一読するだけでもかなり有効。
翻訳スキルハンドブック~英日翻訳を中心に
翻訳者に必要なスキルを①原文分析スキル②リサーチスキル③ストラテジースキル④翻訳スキル」⑤校正スキルとし、主に英日翻訳を中心に丁寧に解説されています。翻訳者は実際にどのような流れで仕事をしているのかがよく分かるようになっています。
3. 上級者:社内翻訳の経験がある。または留学経験がある(もしくは帰国子女)。語学には自信があるが、トライアルに合格しない。どこが悪いのか自分では分からない。
英文解釈のテストの答案と、顧客に渡す商品としての訳文とは、求められるものが違います。前者は「この英文を正しく解釈する能力があることを示す文」、後者は「英語を全く読めない人に対してその内容を分かりやすく伝える文」です。
商品としての「訳文」を作れるようになることが「プロの翻訳者になる」ということです。「翻訳会社のトライアルに受かりさえすれば誰でも翻訳者になれる」訳ではありません。
トライアルに合格した後も継続的に仕事を受注するには、「商品価値のある訳文を提供し続けること」が必要なのです。
できる翻訳者になるために プロフェッショナル4人が本気で教える 翻訳のレッスン
高橋 さきの (著)、深井 裕美子 (著)、井口 耕二 (著)、高橋 聡 (著)
著者の4人が本書の中だけでなく、去年行われたウェビナーの中でもおっしゃっていたことは、「翻訳とは原文(英語)を読んで見えた絵と、訳文(日本語)を読んで見えた絵が同じようにすることなのだ」ということです。「原文の行間を読み、伝えたい内容を適切な日本語にして読み手に届ける必要があります。この作業は、原文が技術系であろうと文学であろうと、変わりません」
本書ではこのプロセスの一つ一つを丁寧に追い、具体例をふんだんに交えながら、翻訳の本質について説明されています。
自分の訳文を商品価値のあるものにするための仕上げの一冊。
翻訳問答2 創作のヒミツ 鴻巣 友季子 (著、編集)
内容を理解してそれを訳文として表現するにはどうしたら良いか。一言で言い表せる「コツ」や「秘密」はありません。自分で訳して悩みながら身につけていくものだと思います。プロがどのような思考で訳文を作成していくかをこのような本で学ぶことも大変有効だと思います。
翻訳の学習法については、Twitterをハッシュタグで検索すると現役の翻訳者が有益な情報をつぶやいています。
#どうやって翻訳者になったか
#実績ゼロから翻訳者に
などのハッシュタグを参考にしてください。
また、本ウェブサイトの案内人である私も、「マシュマロ」というサービス経由で質問を受け付けていますので、ぜひ一度Twitterをご覧ください。(@yukaringlish)