派遣社員として企業内翻訳者の仕事に応募する

派遣での企業内翻訳者でキャリアをスタート


 コロナウイルス感染症の拡大を受けて、今もなお一部ではリモートワークの企業も多く、新たに派遣社員の翻訳者としてのポストに応募するのは現実的ではないかもしれませんが、コロナ収束後には、翻訳者としてのキャリアを本気で築きたいと思っている方には一番お勧めする方法です。

 実際、このサイトを運営している案内人の私も、2社で合計5年半、派遣社員として社内翻訳者を経験しました。

 企業内で発生する翻訳は、社内に英語ができる社員がいる場合はその社員に集中することが多いです。それでも回らない量の翻訳がある場合は、翻訳会社に外注となりますが、 企業というのは機密事項の多い社内書類を、本来あまり外注したくはないものです。

企業から個人への発注はほぼ0%。業者経由で発注又は社内対応


 そのため、企業からの翻訳の仕事は、基本的に信頼がおける翻訳会社へ発注されることになります。付き合いの長い老舗の翻訳会社であることもありますし、系列に翻訳会社や人材派遣会社を持っている場合はそちらへ行くこともあります。会社から個人へ直接依頼が行くことはほとんどありません

 ですから最終的に在宅翻訳者を目指している人はこのようにして企業から外注された翻訳の案件を翻訳会社経由で受注することになります。しかし、こういった社内文書の翻訳というのは、社内の専門用語も多く、何の話なのかさっぱり分からないということもたびたびあります。もちろんその会社の案件と分かれば公式サイトなどを調べて翻訳者はできる限りの調査はしますが、その会社の中にいないと分からないということも少なくありません。

 プロジェクトごとに毎回会社の中へ出向いて社内の人に質問する、ということもできませんから、多くの翻訳会社はもともと「〇〇の専門知識がある人」「〇〇に強い人」というのを優遇するようになります。

 こういう場合に「〇〇業界で翻訳者として△年働いていました」という経歴は有利に働くこともあります。

社内翻訳者だと翻訳未経験者可の場合もある(ただし留学経験やTOEICや英検などが問われることも)


 不安定な雇用形態の派遣社員という立場を殊更にお勧めするわけではありませんが、大手の企業の正社員だと、必ずしも希望の部署に配置されるとは限らないものです。

 その点、翻訳要員としての派遣社員は、基本的にデスクに着いたら100%ずっと翻訳をしています。 

 私もその昔、派遣で社内翻訳をしていた頃、社員さんに「一日中翻訳していて飽きない?」と言われていましたが、もともと翻訳作業が好きな私は一日8時間机に向かっていても全く飽きませんでした。好きな仕事に没頭させてもらえる派遣の翻訳者というのは、私にとって最高の仕事場でした。逆に社内で8時間ずっと翻訳をしているのが苦痛な人は、在宅で翻訳するのも向いていないと思います。

 その後、子育てのため、在宅翻訳に転向しましたが、それがなければ今ごろまだ社内で翻訳者をしていたと思います。

 社内翻訳者であれば、「未経験者可」の場合もあります。その場合、会社としては判断材料がないのでTOEICや英検の点数が求められることもあります。どちらも受けたことがない方は取得しておいた方がいいかもしれません(コロナ感染拡大で試験も延期が続くかもしれませんが)。

在宅翻訳者としての応募書類に経験年数としてカウントできる


 翻訳者として翻訳会社に登録を希望する場合、ネックとなるのは実務経験の有無です。最初は誰でも初心者ですから、経験者しか採ってくれないなら最初はどうすればいいんだと思いますが、社内翻訳者として働いた期間は立派な職務経験になります。社内でしか身につけられないスキルや知識もあります。仕事をしながら専門知識を身につけることができる絶好のチャンスととらえることもできます。