コラム②:翻訳の仕事のための初期投資

翻訳の仕事をするためには何が必要で、どのくらい費用がかかるのか

1. パソコン

翻訳の成果物はデータで納品しますので、パソコンは必須です。
Word、Excel、PowerPoint、Trados、MemoQ、その他のファイルを扱いますので、動作が重くなったりせず快適に作業するにはある程度スペックが必要です。
 
参考までに私が使用しているパソコンのスペックを以下に簡単に記載します。
 
・品名:DELL XPS 8930 デスクトップパソコン (2019年11月購入)
・メモリ: 16GB
・SSD:256GB
・ハードドライブ: 2TB
 
・Microsoft Office Home & Business 2019
 
TradosなどのCATツール(翻訳支援ツール)を入れるとかなり重くなりますので、メモリは16GB以上がお勧めです。家庭用の一般的な4GB程度のメモリでは翻訳作業をするにはパワー不足だと思います。
 
メモリ16GB以上のパソコンにMicrosoftのOfficeを入れると、メーカーにもよりますが新品だと18~20万円前後になります。中古のパソコンにメモリを増設するなど、工夫次第ではもう少し経費を抑えることもできます。

 

2.  インターネット接続

翻訳の受注・納品はすべてメールまたは専用のプラットフォームを使いますし、調べものでもインターネット検索を多用しますのでインターネット接続は必須です。できれば光回線などの高速のものがいいです。最近はオンラインで作業するCATツールもありますので、回線が重いと作業効率が落ちます。家庭用の光回線で月額4千円~5千円程度かかります。
 
 

3. 辞書類

紙の辞書、電子辞書、パソコンにインストールするタイプの辞書と色々ありますが、使いやすいもので良いと思います。
 
<英和・和英辞典>
・リーダーズ英和辞典+リーダーズ・プラス  *
・ランダムハウス英和大辞典  *
・ジーニアス英和大辞典  *
・研究社新英和大辞典、研究社新和英大辞典
(・研究者新英和・和英中辞典)
(・ウィズダム英和・和英辞典)
 
<英英辞典>
・Oxford Dictionary of English *
・Collins COBUILD Advanced Dictionary of English
 
<活用大辞典>(英訳を担当する人向け)
・研究社新編英和活用大辞典 *
 
<国語辞典>
・明鏡国語辞典 *
・日本語大シソーラス
 
<日本語類語辞典>
・角川類語新辞典
 
*を付けたものは私が必須だと思う辞書です。
電子辞書、紙の辞書、インターネット辞書、どの形態で揃えるかにもよりますが、一通り揃えると5万円~10万円前後の出費になります。
 
ただし、最初からすべてハードで揃えると費用もかかるので、ネット辞書を使う手もあります。
 
ネット上の辞書については、辞書に精通していることで有名な「帽子屋さん」のブログのこちら2つの記事が参考になります。
 
また、会員になることで(月額プランまたは年額プランで有料)豊富なコンテンツにアクセスできるジャパンナレッジもお勧めです(私も使用しています)。
 
 

4. プリンター

翻訳したものを紙で納品することはほとんどありませんが、多くの翻訳者が訳文を紙にプリントアウトしてチェックしてから納品します。また、原文をPCスクリーンだけで見ていても見づらいので、紙に印刷してから手元に置いて翻訳作業をすることもあります。
 
得意先によっては紙の請求書が必要なこともあります。機密事項を扱うので資料などをコンビニのプリンターで出力するのもはばかられます。ですから仕事をスタートするにあたってプリンターの準備は必須だと考えます。メーカーと種類によりますが、数千円から1万円台後半~2万円程度の出費になります。
 
 

5. 机、椅子

これはどこまでこだわるかによりますが、快適な作業のためのデスクと椅子は必須です。長時間座って作業しますので、椅子には投資している翻訳者の方は多いです。最初から無理して高いものを買う必要はないですが、肩凝り・腰痛などのリスクを考えると、自分に合ったものを用意する必要があります。
 
 

6. 消耗品・書籍代

紙代、プリンターのインク代、ペンなどの文房具等、ランニングコストがかかります。また、翻訳関連分野などの知識を補強するために必要な書籍代等もその都度かかります。
 

7. CATツールのライセンス代、定期アップデート代

クライアントによってはCATツールの使用が必須の場合もあります。分野や案件にもよりますが、必要な場合は個人でライセンスを取得しなければならないこともあります。ちなみに私はTradosを所有していますが、新規でのライセンス取得に6~7万円前後かかります。その後2年ごとに数万円のアップデート代が必要です(必ずしも毎回アップデートする必要はないかもしれませんが)。
 
また、上でも述べましたがCATツールを入れることによってパソコンは非常に重くなります。ですから、スペックの低いパソコンしか所有していない場合は、CATツールを使用する案件の受注はお勧めしません。

パソコンのスペックやCATツールを買うか否か等にもよるが初期投資として15万円~40万円程度必要

すでにお持ちのものもあると思いますが、仮に上記すべてを全く何もない状態で一から揃えるとすると、合計で約15万円~40万円近くの初期投資になります。

初期投資額から言ってもいきなりフリーランスになるより社内翻訳者からスタートするのがお勧め

社内翻訳者として稼働を始める場合はパソコンや周辺機器、消耗品類は会社のものを使えますので、自前で用意するのは辞書や勉強のための書籍代などに限られます。  

初期投資に必要な金額から考えても、初心者の場合はいきなり在宅フリーランスを目指すより、派遣会社経由などで社内翻訳者のポストからスタートし、必要なものを徐々に揃えながら、実力をつけながら、フリーランスになる道を模索していくのが良いのではとないかと思います。